2025年5月– date –
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『記号論への招待』(池上嘉彦)
池上嘉彦の『記号論への招待』(1984年、岩波新書)は、記号論の基本概念をわかりやすく解説しつつ、言語と文化の深い関係を探る一冊である。言語を単なるコミュニケーションの道具ではなく、「虚の世界」を創り出す創造的装置として捉える池上の視点は、... -
『刺さる言葉 「恐山あれこれ日記」抄』(南直哉)
南直哉の『刺さる言葉 「恐山あれこれ日記」抄』(筑摩選書、2015年)は、禅僧であり恐山菩提寺院代を務める著者のブログ「恐山あれこれ日記」から選りすぐったエッセイ集。死や自己同一性、生きる意味といった重いテーマを、ユーモアと軽妙な語り口で解き... -
『実利論 古代インド「最強の戦略書」』(笠井亮平)
古代インドの戦略書『アルタシャーストラ』、即ちカウティリヤの『実利論』は、紀元前4世紀に生まれ、統治や軍事、外交を網羅する驚異的な知の結晶です。文芸春秋の新書シリーズの一冊として、笠井亮平氏がこの古典を現代に蘇らせ、古代中国の『孫子』との... -
『漱石の孫』(夏目房之介)
夏目房之介の『漱石の孫』(新潮文庫)は、夏目漱石の孫という特異な立場から、マンガや文化、現代社会を考察したエッセイ集です。漫画家であり評論家でもある房之介氏は、自身の多面的なアイデンティティを通じて、知識人と大衆の境界が曖昧な現代を鮮や...
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