人文・思想・宗教– category –
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『九鬼周造』(田中久文)
哲学と文学の境界を軽やかに越える九鬼周造の思想を、田中久文が丁寧に読み解いた『九鬼周造』は、偶然性という不確かなものを通じて人間の生と芸術を見つめる一冊です。 偶然性と詩学の交錯 九鬼周造は、偶然性を哲学の中心に据え、それが人間の倫理や芸... -
『枠組み外しの旅:「個性化」が変える社会』(竹端寬)
竹端寬の『枠組み外しの旅:『個性化』が変える社会』は、現代社会の硬直した枠組みを解き放ち、個々の主体性を尊重する新たな社会像を模索する一冊である。本書は、哲学、心理学、社会学の知見を織り交ぜながら、復讐と贈与の対比や「和」と「同」の再解... -
『自由意志の向こう側 決定論をめぐる哲学史』(木島泰三)
木島泰三の『自由意志の向こう側 決定論をめぐる哲学史』(講談社選書メチエ、2020年)は、古代から現代に至る決定論と自由意志の議論を、哲学史の広大な地平にわたって丁寧にたどりつつ、現代の認知科学や進化論の知見を織り交ぜた野心的な一冊である。... -
『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』(阿部幸大)
『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』(阿部幸大著、光文社、2024年)は、アカデミック・ライティングの技術を初学者から中級者まで幅広く導く、独自の視点と実践的なアプローチを兼ね備えた一冊です。本書は、単なる形式的な文章術にと... -
『雨の日の心理学』(東畑開人)
東畑開人著『雨の日の心理学』(角川書店)は、ケアという行為の深層に潜む心理的・社会的な葛藤を、静謐かつ鋭い筆致で描き出す一冊です。ケアとは、誰かを支える温かな行為であると同時に、提供者自身を孤独に追い込み、社会から見過ごされがちな「見え... -
『記号論への招待』(池上嘉彦)
池上嘉彦の『記号論への招待』(岩波新書、1984年)は、記号論という学問を通じて、言語や文化がどのように意味を生み出し、私たちの世界を形作るのかを丁寧に解き明かす一冊です。言語学や哲学、さらには文化人類学に関心を持つ読者にとって、知的な刺激... -
『刺さる言葉 「恐山あれこれ日記」抄』(南直哉)
南直哉の『刺さる言葉 「恐山あれこれ日記」抄』(筑摩選書、2015年)は、禅僧であり恐山菩提寺院代を務める著者が、ブログ「恐山あれこれ日記」に綴ったエッセイを厳選・再編集した一冊です。死、自己同一性、生きる意味といった深遠なテーマを、仏教の「... -
『実利論 古代インド「最強の戦略書」』(笠井亮平)
古代インドの戦略書『アルタシャーストラ』を現代に蘇らせた笠井亮平の『実利論』(文春新書)は、古代中国の『孫子』と比較しながら、カウティリヤの合理性とリアリズムを丁寧に紐解く一冊です。この書は、軍事戦略に留まらず、統治、外交、組織運営に至...
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